【能登出身の銭湯経営者データベース】公開

更新日:2023年02月16日

都市の銭湯文化を開花させた能登人

全国各地で出稼ぎ労働者が地方から都市へ大きく移動した近代。地方から出た先駆者には、多くの同郷者たちが集い、彼らは同郷者団体という第2のムラをつくりました。親戚縁者や婚姻関係を結んだ者など、同郷者団体は結束力を高め、団体となって都市で生きる力を蓄えました。とりわけ石川県民においては、関西や関東の大都市へ移住し、銭湯業を行う者たちが目立ち、地元では語り草となっています。都市で成功した銭湯経営者は、出身地で寄附活動を積極的に行い、その姿をみた地元人は、都市への憧れを抱き、都市へ移住しました。縁者が縁者を呼ぶ人の動きは、戦後も継続していきました。

1.能登の神社寄進物調査 ~近代の関西・関東の銭湯経営者を中心に~

調査は平成29年に町教委と横浜市ふるさと歴史財団が、中能登町内の神社寄進物を調査したところ、寄進者の多くが地元出身の関西や関東の銭湯経営者だったことにより町教委が継続して行っています。本調査よりこれまで地元でも知られてこなかった銭湯経営者たちの足跡が明らかになりつつあります。本HPでは、中能登町内外の調査で得られた情報を随時アーカイブ(保存記録)し、公開していきます。

2.中能登町ゆかりの銭湯経営者について

〈参考文献〉

●『浴場評論』 浴場評論社 1936年※本書は横浜市立図書館デジタルアーカイブで閲覧できる。本書では中能登町久江出身の松田彦治の肖像写真と銭湯経営に至るまでの経緯が記され、文章中には同じく久江出身の道具又右衛門(本書は「道後」となっているが誤記)と富山富男、能登部出身の永瀬啓太郎の名前も登場する。また、七尾市湯川町出身の銭湯業を営む受川力蔵についても肖像写真とともに紹介されている。●『加能人芳名帳』 全国石川県人会連合会・加能人社 1978年●大阪能登互助会40周年記念編集委員会編 『創立40周年記念誌』 情報出版株式会社 1992年●横浜開港資料館・横浜市歴史博物館編 『銭湯と横浜』 (公財)横浜市ふるさと歴史財団 2018年●京浜移住者研究会編 『都市移住者を結節点とした地域間連携に関する基礎的研究―浴場経営者のデータベース構築を中心に―』 (公財)横浜市ふるさと歴史財団 2020年

【中能登町内の発行図書】●『酒道勇太郎翁』 鳥屋町公民館 1968年●『ふるさとくろじ』 鳥屋公民館黒氏分館 1979年●門野 実編 『郷土の先賢を偲ぶ』 鳥屋町鳥屋公民館 1982年●花見月区史編集委員会編 『花見月区史』 石川印刷 2005年●黒氏区誌編纂委員会編 『黒氏区誌増補ふるさとくろじ』 黒氏区 2008年

銭湯経営者銅像・顕彰碑等一覧

 

〔中能登町内の主な神社寄進物及び顕彰碑〕

■久江・久氐比古神社鳥居(大正11年建立)。関東の銭湯経営者らを中心に結成された「東京横浜楽心会」によって建立。

■花見月出身の中蔵吉三の銅像(花見月に所在、昭和44年建立)。大正15年から大阪で銭湯業をはじめた。

■能登部下・能登比め神社鳥居(大正12年建立)。横浜で浴場用ガラス製品を販売する能登部出身の永瀬啓太郎が寄進した。

■一青・松尾神社 細川仙之助の碑(昭和8年建立)。大阪の銭湯業や豆腐製造業らでつくる同郷者団体の生みの親である一青出身の細川仙之助の顕彰碑。

■上後山・白山神社 伊賀周平顕彰碑(昭和55年建立)。昭和11年、42歳で大阪で銭湯業をはじめた。

 

※資料の掲載・展示・放映などに関するお問い合わせは、生涯学習課のEメールにて受付いたします。

Eメールbunka@town.nakanoto.ishikawa.jp(文化財保護係宛て)

この記事に関するお問い合わせ先

生涯学習課 文化財保護係

〒929-1715
石川県鹿島郡中能登町一青こ部19番地1
(ふるさと創修館内)
電話:0767-74-2735 ファックス:0767-74-2736

生涯学習課へのお問合せ